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川崎と大阪と博多と高知

今度再共演する大阪の酒井ヒロキから電話があって「博多におるんすけど、屋台でラーメン食う思うたら、どこ行けばいいっすかね?ちょうど今、中洲あたりやと思うんすけど…。」
「あぁいやいや中洲の屋台に飛び込みで入らんほうがいいよ。ぼられるって聞いたことあるし…」と答えつつ、どこの屋台でラーメンを食べればいいか考えるが、自分の頭に気の利いた選択肢がないことに気づく。酒井には大阪で気の利いた案内をしてもらったので、何とか応えたかったのだが。
福岡を離れて10年。街も変わったし、店も流行も今とは全然違う。僕が歌ってた店もなくなってしまった。そもそも中洲の屋台でラーメン食べたりせんやった。当時はお酒を呑めんやったけん中洲なんて行かんやった。
「長浜まで行けばいいんやろうけど、タクシィ乗らないかんけんね。ちょっと博多の友達に聞いてみる」と言って一旦電話を切る。
高校時代からの友人Aにかけると繋がらなかったので、友人Bにかける。
すると「おう。今、Aと一緒に四国。高知。」と言う。
30歳も半ばだというのに、本当にこいつらは今、高知にいる。しかも2人で。GWだからとはいえ、まったく何だそのフリースタイルは。
大学生の時、酒を呑まない僕らがすることと言えば、車でどこかに行くことくらいだった。昼夜問わずあてもなく九州中をうろついた。車内ではほとんど音楽を聴いていた。それが目的といっても良かった。しゃべる時間より音楽を聴いていた時間の方が長いと思う。20代の前半に僕らは時間をそういうふうに共有した。
「高知か。うらやましい。」と、さもそんなにうらやましくなさそうに僕は言った。
この10年に何度もこんなことがあった。僕が実はうらやましく思っていることをAもBも当然承知だ。
「うらやましかろ。」
記憶の中ではいくらでも距離は縮まるが、現実に立ち戻って、それぞれの環境において距離が縮まることはない。今すぐ高知に行くのは無理だし、さらに今夜は大阪人である酒井に気の利いた博多の夜を案内することもできない。僕は明後日、午前中から息子を歯医者に連れて行かなくちゃいけない。
折り返し酒井に電話をしてそのまま伝える。気の利いてない返答ですまん。今度一緒に博多でライブしよう。終わったら屋台でラーメンよか美味かもんば食わしちゃあたい。って、今の福岡の街をよく知らんのに、そんなことえらそうに言えんなー。調べとかな。